リユース市場はなぜ伸び続けるのか|規模・成長の理由・今後の動向を体系解説

リユース市場の統計を追いかけていると、ひとつの事実に目が留まります。国内リユース市場は、集計が始まった2009年から一度も縮まず、15年連続で拡大を続けているのです。リーマンショック後も、コロナ禍も、物価高の今も、です。

15年間伸び続ける市場は、そう多くありません。一時のブームなら、とっくに息切れしているはずです。なぜリユース市場だけが伸び続けるのか。その答えを、信頼できる公的データと業界統計、そしてリユースECを日々運営する現場の実感から、この1本で体系的に整理します。

私たちラクフルは、大阪・豊中を拠点に国内ECリユース・アパレル事業を営む会社です(2015年7月設立)。市場の「中の人」として統計を読むと、数字の行間に見えてくるものがあります。リユース事業への参入や取引を検討している方、業界研究中の方、市場データを探している実務者の方に向けて、遠回りせずに全体像へたどり着ける記事を目指しました。

この記事で分かること

  • リユース市場の最新規模と、「3.3兆円」「3.5兆円」という2つの統計の正しい読み方
  • 15年連続成長を支える3つの要因(経済合理性・環境意識・テクノロジー)
  • カテゴリ別・販路別データで見る市場の姿と、担い手の構造(BtoC・CtoC・古物営業法)
  • 古着・中古車の輸出データが示す、海外へ広がるリユースの現在地
  • 今後の競争軸(品質保証・情報開示・越境)と2030年に向けた見通し

結論:リユース市場の拡大は、ブームではなく構造変化です

先に結論をお伝えします。リユース市場の15年連続成長は、一時的な流行ではありません。3つの独立した要因が同じ方向に働き続けた結果の、構造変化です。

第一に、経済合理性。物価上昇のなかで、中古品は「安く買えて、高く手放せる」合理的な選択肢になりました。第二に、環境意識。国は循環経済(サーキュラーエコノミー。ものの価値を保ちながら資源や商品として巡らせ続ける経済の仕組み)への移行を国家戦略に掲げ、中古を選ぶことの社会的な意味が定着しました。第三に、テクノロジー。フリマアプリとECが「売る・買う」の手間を劇的に下げ、家庭に眠っていたものを市場へ引き出しました。

3つの要因は、どれか1つが欠けても今の成長はなかったと私たちは見ています。景気だけが理由なら景気回復で止まり、意識だけが理由なら掛け声で終わり、技術だけが理由なら目新しさとともに冷めるからです。3つが絡み合っているからこそ、この成長は簡単には逆回転しません。

そして今後の競争軸は、「いかに安く売るか」から「いかに信頼を売るか」へ移ります。品質保証、情報開示、そして越境流通。本文の後半で、データとともに詳しく見ていきます。

市場規模の現在地:「3.3兆円」と「3.5兆円」、2つの統計の読み方

まず、市場の大きさを正確に押さえます。リユース市場は「二次流通市場」とも呼ばれますが、その規模を調べると、実は異なる2つの数字に出会います。ここを曖昧にしたまま引用される例が多いので、最初に整理しておきます。

1つめは、リユース業界の専門紙リユース経済新聞(旧リサイクル通信)の推計です。2024年の国内リユース市場規模は3兆2,628億円。前年比4.5%増で、集計開始の2009年以降15年連続の拡大です(2025年9月公表)。この推計は事業者の売上をベースにしており、中古車・中古住宅は含みません。

2つめは、環境省の「令和6年度リユース市場規模調査」です。こちらでは2024年の市場規模は3兆4,986億円(2025年6月公表)。前回調査の2021年(3兆4,048億円)から2.8%増え、2012年調査(3兆1,047億円)以降、増加傾向が続いています。この調査は消費者アンケートに基づく購入額ベースの推計で、自動車・バイクを含みます。品目別では自動車が最も大きく、全体の54.9%(1兆9,213億円)。自動車・バイクを除くと1兆2,813億円です。

項目 リユース経済新聞の推計 環境省の調査
2024年の市場規模 3兆2,628億円 3兆4,986億円
伸び 前年比4.5%増(15年連続拡大) 前回2021年調査比2.8%増
中古車の扱い 含まない(中古住宅も対象外) 含む(自動車が全体の54.9%)
推計の方法 事業者の売上ベースの独自推計 消費者アンケートに基づく購入額ベース
公表 2025年9月・毎年 2025年6月・おおむね3年ごと

つまり、どちらかが間違っているのではありません。「何を市場に数えるか」の定義と、推計の方法が違います。中古車を除いた事業の市場感をつかむならリユース経済新聞の3.3兆円、自動車まで含めた消費の全体像を見るなら環境省の3.5兆円。データを引用するときは、この定義の違いをセットで示すのが誠実な使い方です。

先行きの見通しも確認しておきます。リユース経済新聞は、市場が2030年に4兆円規模へ拡大すると予測しています。経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」報告書(2025年8月公表)も、この4兆円予測(リサイクル通信調べ)に触れています。同報告書は、Z世代を中心にリユース品購入への抵抗感が薄れたこと、リセールバリュー(再販価値)を意識した購買行動が増えたことを拡大要因に挙げました。業界紙の予測が官公庁の報告書にも採用されている、という位置づけです。

15年連続の成長を支える、3つの要因

では、なぜ市場は伸び続けてきたのか。冒頭で挙げた3つの要因を、データで確かめていきます。

要因1:経済合理性——「安いから」だけでは説明できない変化

最も分かりやすい要因は、価格です。リユース事業者の株式会社BuySell Technologies(バイセル)が2026年3月に実施した消費者調査(20代以上の男女1,036名・同年4月公表)では、中古品を買う理由の1位は「新品よりも安く手に入る」の77.4%でした。物価上昇が続くなか、同じ商品が割安で手に入るという合理性は、リユースへの最大の入口です。

ただし、数字を細かく見ると「安さだけではない」ことが分かります。同じ調査で「販売終了品・珍しい品が手に入る」が69.7%と、安さに迫る2位につけています。新品市場にはもう存在しないものと出会える。これは中古市場にしかない、代替のきかない価値です。

もうひとつ注目したいのが、「手放すときの価格」まで含めた合理性です。買うときに「これは後でいくらで売れるか」を考える。そんなリセールバリューを意識した購買行動の広がりは、前述の経済産業省の報告書でも市場拡大の要因に挙げられています。

フリマアプリを運営するメルカリの2024年5月の調査(n=3,000・同年8月公表・企業調査)では、中古品の購入・使用に「抵抗を感じる」「やや抵抗を感じる」人はいまだ55.7%と半数を超えます。それでも同調査で、Z世代の71.1%が過去1年間に中古品を購入しています。購入経験者の28.6%は「欲しいものを探すときに中古品から探すようになった」と答えました。抵抗を感じつつも、合理性が上回る。消費者の本音が透けて見えるデータです。

要因2:環境意識——選ぶ理由に「意味」が加わった

2つめの要因は、環境意識の定着です。先ほどのバイセルの調査では、中古品を買う理由として「環境に優しい選択肢である」を61.8%が挙げました。安さや希少性に並んで、環境という「意味」が購買理由に育っています。

制度の追い風も明確です。2000年公布の循環型社会形成推進基本法はリユース(再使用)をリサイクル(再生利用)より上位の対策と定め、2024年8月に閣議決定された「第五次循環型社会形成推進基本計画」では循環経済への移行が初めて国家戦略に位置づけられました。中古品の売買は、国の方針と同じ向きの経済活動です。

ただ、この記事は市場と産業構造の解説に軸足を置くため、循環型経済やSDGsとの関係、環境価値の深掘りは別の記事に譲ります。リユースがなぜ環境貢献になるのかを法律と数字の根拠から知りたい方は、「リユースとサステナビリティ」をあわせてお読みください。

要因3:テクノロジー——フリマアプリとECが市場の裾野を広げた

3つめの要因が、テクノロジーです。経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)によると、2024年のCtoC-EC(個人間の電子商取引)市場規模は2兆5,269億円。前年比1.82%増で、市場拡大を主導しているのは主にフリマアプリ市場と報告されています。かつては「捨てる」しかなかったものに、スマホひとつで次の持ち主を探すという出口ができました。

消費者の行動も変わりました。環境省の「令和6年度リユース市場規模調査」では、中古品の購入先として最も多いのはフリマアプリの12.7%で、リユースショップ・中古品販売店の店頭(11.2%)を上回りました(回答者全体に占める割合・複数回答)。世代差も鮮明で、フリマアプリでの中古品購入は10・20代が20.8%に対し、60代以上は8.0%。若い世代ほど、中古とデジタルの距離が近いのです。

テクノロジーの貢献の本質は、検索できるようになったことだと、現場では感じています。一点ものの中古品は、かつて「その店に行った人」にしか出会えませんでした。ECは、豊中の倉庫にある一点ものと全国の「探していた人」をつなぎます。相場も検索すれば分かるため、売る側も買う側も適正価格を判断しやすくなりました。市場の透明性が上がったことが、初めての人の参加障壁を下げ、市場の裾野を広げ続けています。

カテゴリ別・販路別に見る、市場のいまの姿

カテゴリ別:ファッションが初の1兆円超え、スマホが急伸

市場の中身を見ていきます。リユース経済新聞の推計(2024年)によると、カテゴリ別の動きで際立つのはまずブランド品です。前年比15.7%増の4,230億円に拡大しました。衣料・服飾品の6,392億円と合わせた「リユースファッション市場」は、初めて1兆円を超えています。

カテゴリ(2024年) 市場規模 前年比
衣料・服飾品 6,392億円
ブランド品 4,230億円 15.7%増
玩具・模型 2,779億円 9.2%増
携帯・スマホ 1,059億円 22.4%増

衣料・服飾品は単独の伸び率が公表されていないため、表では「—」としています。伸び率で目を引くのは携帯・スマホです。前年比22.4%増で、初めて1,000億円規模に到達しました。新品端末の価格が上がり続けるなか、中古スマホは経済合理性がもっとも分かりやすく働くカテゴリになっています。玩具・模型も9.2%増の2,779億円と堅調で、トレーディングカードやホビーの二次流通の熱を映しているとみられます。

販路別:店舗が最大かつ最も高い伸び、という意外な事実

販路別のデータには、少し意外な事実があります。2024年に最も高い伸びを示したのは、ECではなく店舗販売(BtoC)でした。前年比8.2%増の1兆2,380億円です。ネット販売(BtoC)は同4.4%増、フリマアプリ等(CtoC)は同1.4%増でした。なお、金額が公表されているのは店舗販売のみです。

販路(2024年) 前年比 市場規模
店舗販売(BtoC) 8.2%増 1兆2,380億円
ネット販売(BtoC) 4.4%増 —(非公表)
フリマアプリ等(CtoC) 1.4%増 —(非公表)

店舗好調の背景はどう読めるでしょうか。リユース経済新聞は市場全体の追い風として、物価上昇による割安な中古品への注目に加え、2024年に過去最高の3,687万人に達した訪日観光客によるインバウンド需要を挙げています。ブランド品や時計を目当てに日本のリユース店を訪れる海外のお客様が、店頭の伸びを後押ししているとみられます。「リユースの成長=フリマアプリの成長」と単純化されがちですが、実際の市場は店舗・EC・CtoCがそれぞれの強みで併走している。ここは実務者として強調しておきたいポイントです。

市場の担い手:CtoCとBtoC、そして信頼を支える古物営業法

個人と事業者は、競合ではなく分業の関係にあります

リユース市場の担い手は、大きく3つに分けられます。フリマアプリなどで個人同士が売り買いするCtoC、事業者が買い取って販売するBtoC、そして事業者間で在庫が動くBtoBの流通です。BtoBは消費者の目には触れにくい部分ですが、事業者どうしが在庫を融通し合うことで、CtoCとBtoCの両方を裏から支えています。

内閣府の分析資料(2024年7月公表)によると、2022年の中古品の購入経路はフリマアプリ等のCtoCネット販売が43.1%、BtoC実店舗が36.7%、BtoCネット販売が18.6%でした。なお、この数字は購入経路の構成比です。先ほどの環境省調査の「フリマアプリ12.7%」(回答者全体に占める購入先の割合・複数回答)とは、母数も設問も調査年も異なるため、単純には比べられません。統計は、こうした前提の違いごと引用するのが安全です。

CtoCとBtoCは、しばしば競合として語られます。しかし現場から見ると、両者は分業に近い関係です。CtoCは「売る側」の裾野を広げ、家庭に眠っていたものを市場に引き出す入口になりました。一方で、状態の見極めや真贋の判定、クリーニング、保証といった手間と責任を引き受けるのがBtoC事業者です。手軽さのCtoC、安心のBtoC。消費者は商品や状況に応じて、この2つを使い分けるようになっています。

古物営業法:3兆円市場を支える、許可制という信頼インフラ

市場の制度基盤として押さえておきたいのが、古物営業法です。中古品を業(なりわい)として売買する事業者は、都道府県公安委員会の許可(古物商許可)を得てこの市場に参加しています。同法の狙いは盗品の流通を防ぐこと(第1条)。そのために事業者には、買い取り時の本人確認と、取引記録の保存(最終記載日から3年間)が義務づけられています。

経済の視点で見れば、この許可制は参入のハードルであると同時に、3兆円市場の取引を安心して回すための信頼インフラです。2018年の法改正(2020年4月全面施行)で許可単位が全国で1つに一本化され、複数拠点で展開する事業者が動きやすくなったのも、市場拡大と歩調を合わせた制度側の変化と言えます。

海を越えるリユース:輸出データが示す「次の市場」

リユース市場の成長を語るとき、見落とされがちなのが海外への広がりです。データから見ていきます。

まず古着です。財務省貿易統計に基づくと、2023年の日本の中古衣類輸出量は21万4,323トン。一方、輸入量は2025年実績で9,134.7トンです(リユース経済新聞・2026年4月報道)。年は異なりますが、輸出は輸入の20倍を超える規模で、日本は古着の大幅な輸出超過国です。なお輸出量自体は2023年まで4年連続で減少しており、量から質への転換期にあるとも読めます。日本の古着が海外で評価される背景は、先ほどご紹介した「リユースとサステナビリティ」の記事で詳しく解説しています。

より大きな流れは、中古車です。国際自動車流通協議会が財務省貿易統計を基に集計した数値では、2024年の中古車輸出台数は157万2,714台。前年比1.9%増で4年連続の増加です。仕向け国別では、UAE(アラブ首長国連邦)がロシアを抜いて首位に立ちました。日本貿易振興機構(ジェトロ)のドバイ発レポート(2024年2月)によると、日本からUAEへの中古乗用車輸出は2023年に約18万台・598億円。2021年比で台数1.6倍・金額2.3倍という急な伸びです。

個人・小規模事業者レベルの越境販売でも、日本の中古品は存在感を増しています。イーベイ・ジャパンの「2025年間 越境ECレポート」(2026年3月公表)によると、日本セラーの販売ではトレーディングカードが前年比約1.74倍に急成長しました。英国・豪州市場では中古カメラ・高級腕時計・トレーディングカードの伸びが目立ちます。同レポートは両市場を「リユースやサステナブル志向が高く、品質管理への信頼性が評価されやすい」と分析しました。

同社の2025年第1四半期レポートでは、日本セラーのデジタルカメラ販売が前年同期比1.5倍。うち中古品が8割を占めました。海外購入サポート「Buyee」を運営するBEENOSの「越境EC×ヒットランキング2025」でも、海外ユーザーの購入カテゴリー1位はトレーディングカードで、北米・南米・東南アジア・ヨーロッパの4エリアすべてで首位でした。

これらのデータが示すのは、シンプルな事実です。日本人がものを丁寧に使う文化と、事業者が磨いてきた検品・状態表記の精度は、国境を越えて通用する資産だということ。国内で15年かけて育った「中古の信頼」が、そのまま輸出品目になりつつあります。

今後の競争軸:品質保証・情報開示・越境

ここまでの整理を踏まえて、これからの競争軸を考えます。市場が2030年の4兆円へ向かうなかで、事業者の優劣を分けるのは次の3点だと私たちは見ています。

競争軸1:品質保証——「不安の壁」を越えた事業者が選ばれる

成長の裏側で、消費者の不安は依然として大きいままです。前出のバイセルの調査(2026年3月)では、中古品購入の懸念として「すぐに壊れないか品質が心配」が74.1%、「本物かわからない不安」が69.5%に上りました。「状態や適正価格など条件確認が面倒」66.4%、「衛生面で不安がある」64.2%がそれに続きます。

不安の大きさは、品目ごとの購入意向の差にはっきり表れます。環境省の調査(2024年)で「中古品で購入しても良い」とされた割合は、次のとおり品目で大きく分かれました。

品目 中古品での購入意向
書籍 63.5%
ソフト・メディア類 53.4%
自動車 41.5%
ゲーム機器 39.1%
家具類 39.0%
携帯電話・スマートフォン 22.5%
テレビ・洗濯機・乾燥機・冷蔵庫 19.3%
エアコン 13.6%

書籍の63.5%に対し、エアコンは13.6%。故障リスクや衛生面の不安が大きい品目ほど、意向は下がります。裏を返せば、検品・整備・保証で不安を減らせた事業者から順に、まだ開いていない市場を取りにいけるということです。実際、越境ECの世界でも「保証つきの中古」という商品形態が広がり始めています。中古品を認定整備品として出品できる「eBay Refurbished」プログラムは、2025年3月末から日本の全セラーに開放されました。

競争軸2:情報開示——正直さが、そのまま商品力になる

2つめの軸は、情報開示です。バイセルの同じ調査では、商品購入時に中古品も選択肢に入れる人は66.6%に達し、「中古品を持つのは恥ずかしい」という考えは76.9%が否定しました。買う気持ちの準備は、もうできているのです。足りていないのは、判断材料の方です。

中古品は一点ごとに状態が違います。だからこそ、状態ランクの根拠、傷や汚れの写真、動作確認の範囲、返品の条件。それらをどこまで正直に開示できるかが、そのまま商品力と再購入率を左右します。よく「中古品はクレームが怖い」と言われますが、私たちの実感では、トラブルの多くは商品の状態そのものではなく、事前の説明と届いた実物の落差から生まれます。開示の解像度を上げることは、守りではなく攻めの投資です。

競争軸3:越境——制度対応力が新しい参入障壁になる

3つめの軸が、越境流通です。前述のとおり、日本の中古品への海外需要はデータで裏づけられています。ただし追い風だけではありません。米国では2025年8月、800ドル以下の少額輸入品を関税免除とする「デミニミス・ルール」が停止されました。イーベイ・ジャパンはこれを受け、米国向け取引でDDP(関税込み配送)を必須化しています。同社の年間レポートは、この制度変更を機に日本セラーの販路が欧州・豪州・アジアへ広がる「販路の多極化」が本格化したと総括しました。

つまり越境リユースは、関税・通関・各国規制への対応力という新しい参入障壁を伴う市場になりました。見方を変えれば、国内で鍛えた検品・状態表記の精度に制度対応力を掛け合わせられた事業者にとって、競合の少ない市場が広がっているということでもあります。

ラクフルの現在地:市場の「中の人」として見えているもの

最後に、この市場の当事者としての現在地をお話しします。私たちラクフルは、従業員33名(2026年6月現在・パート・アルバイト含む)の会社として、大阪・豊中を拠点に国内ECリユース・アパレル事業を運営しています。一点ものの中古品を検品し、状態を記録し、複数のECモールで販売する。この記事で引いてきた統計の内側で、毎日商品と向き合っています。

現場から見た「15年連続成長」の実感は、派手なものではありません。お客様からの「中古を初めて買いました」という声が少しずつ増えること。動作の確認だけでなく、付属品の欠けや小さな傷まで書き添えた商品ほど、遠くの誰かに選ばれていくこと。統計の1本の線は、検品台で一点ものと向き合う仲間の手と、そうした小さな選択の膨大な集積です。

リユース市場を成長させてきた主役は、事業者ではありません。「中古でいい」ではなく「中古がいい」と選ぶ人が増えたこと——成長の正体は、その選択の積み重ねです。

だからこそ私たちは、この記事で見てきた競争軸のうち、品質保証と情報開示を日々の実務として積み重ねています。そして3つめの越境については、正直に書きます。私たちはまだ挑戦の入口に立つ側です。国内で磨いてきた検品と状態表記の精度を武器に、越境ECの本格化を計画し、関税や配送の制度を学びながら準備を進めています。その構想と背景は「豊中から世界へ・越境ECへの挑戦」に、検品や出品の現場実務は「リユース事業のこだわり」に綴っています。事業のご相談は事業紹介ページからどうぞ。

要点を最後にもう一度まとめます。国内リユース市場は3兆円超で15年連続の拡大。市場規模には定義の異なる2つの統計(3.3兆円と3.5兆円)があり、引用時は定義の明示が必要です。成長は経済合理性・環境意識・テクノロジーの3要因に支えられた構造変化であり、2030年には4兆円規模と予測されています。リユース業界の今後を分けるのは、品質保証・情報開示・越境流通という3つの競争軸。中古市場の動向は、これからも「安さ」より「信頼」を軸に動いていくはずです。まだ使えるものが正当に評価されて次の持ち主へ渡り、その先で誰かの楽しさにつながっていく。私たちも、その担い手のひとりとして市場の中を歩き続けます。

よくある質問

Q. リユース市場の規模は、結局いくらと言えばよいですか?

A. 引用の目的で使い分けてください。事業者売上ベースで中古車を含まない業界統計なら、リユース経済新聞推計の3兆2,628億円(2024年)。自動車・バイクまで含む消費者購入額ベースなら、環境省調査の3兆4,986億円(2024年)です。どちらを使う場合も、出典と「中古車を含むかどうか」の定義を併記するのが正確です。

Q. リユース業界は、今後も伸び続けますか?

A. リユース経済新聞は2030年に4兆円規模への拡大を予測しており、経済産業省の報告書もこの予測(リサイクル通信調べ)に言及しています。成長の土台が経済合理性・環境意識・テクノロジーという3つの構造要因である以上、急な失速は考えにくいはずです。ただし将来予測である以上、不確実性はあります。

Q. リユース事業を始めるには、何か許可が必要ですか?

A. 中古品を業として売買するには、古物営業法に基づく都道府県公安委員会の許可(古物商許可)が必要です。無許可営業には3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。買い取り時の本人確認や取引記録の3年間保存などの義務もあります。申請の流れや注意点は、今後の記事で詳しく解説する予定です。

Q. フリマアプリとリユースショップは、どちらを使うのがよいですか?

A. 一長一短で、使い分けが現実的です。フリマアプリ(CtoC)は手数料を除けば手取りが多くなりやすい一方、出品・交渉・発送の手間と個人間トラブルのリスクを自分で負います。事業者(BtoC)は検品・保証・返品対応がある分、安心を買う形になります。急ぎか、手間をかけられるか、商品の単価はいくらかで選ぶとよいと思います。

Q. 日本の中古品は、なぜ海外で人気があるのですか?

A. 核心は品質への信頼です。イーベイ・ジャパンの分析では、英国・豪州市場で日本の中古カメラなどが品質管理への信頼性の面で評価されやすいとされています。ものを丁寧に使う文化と、事業者の検品・状態表記の積み重ねがその土台です。海外で人気の背景や売り方の実際は、改めて別の記事で掘り下げる予定です。

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参考情報・出典

公開: 2026年7月12日 / 最終更新: 2026年7月12日 / 執筆: ラクフル株式会社(EC事業の現場より)

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