経営判断の失敗から学んだこと|遠回りが、今のラクフルをつくった

経営の話をするとき、私たちはつい、うまくいった話ばかりを並べたくなります。新しい事業を始めた、拠点を増やした、事業の数が増えた。並べると、迷いのない一本道の成長物語に見えます。

でも実際の道のりは、そこまできれいな直線ではありませんでした。私たちラクフルは2015年7月にリユース事業から出発し、今では6つの事業を並行して営む会社になりました。その間には、狙い通りに進んだ判断もあれば、想定と違う結果になり、途中で方向を転換した経営判断も一度や二度ではありません。

この記事では、特定の年や金額を挙げて出来事を詳しく再現することはしません。本人確認の取れていない発言や数字を、面白おかしく脚色して語ることは避けたいからです。それでも、私たちがどんな種類の判断のズレを経験し、そこから何を学んだのかという骨組みは、正直にお伝えします。経営判断に迷う方、これから挑戦しようとしている方に、判断のヒントと、もう一歩踏み出す勇気をお渡しできたら、うれしいです。

この記事で分かること

  • 6事業に至るまでの道のりに、実際にあった判断のズレの骨組み
  • 「想定通りに進まない」ことが経営に起きる、構造的な理由
  • 私たちが判断のズレを仕組みに変えて、経営判断の精度を上げてきた方法
  • 挑戦を後押しする社内の文化と、判断を振り返る実務のかたち
  • これから新しい挑戦に向き合う私たちの経営判断の姿勢

失敗は隠すものではなく、経営判断の資産にする

先に結論からお伝えします。失敗は、恥ずかしくて隠すものではありません。次の経営判断の精度を上げるための、れっきとした資産です。

私たちのバリューには「誠実性」と「持続性」があります。誠実であるとは、都合のいい話だけを選んで語ることではないと考えています。迷いや軌道修正を含めて事業をどう続けてきたかを、正直に語ること。それこそが、長く続ける会社としての誠実さです。

2015年の創業から今日まで、私たちは一度も立ち止まらずに来られたわけではありません。むしろ、遠回りをするたびに、次はどう判断すべきかという基準が、少しずつ形になってきました。今の6事業は、成功の積み重ねというより、試行錯誤を含めた経営判断の積み重ねの上に立っています。

6事業に至るまでの道のりに、実際にあった判断のズレ

私たちは国内ECでのリユース・アパレル販売を土台にしています。そこから、キッズ向けスポーツ教室のKIDSpo、レンタルスペース事業へと広げました。地域のつくり手をつなぐとよなかマルシェ、自社製品開発のTABI Sneakers、そしてWEB制作事業も加わりました。

並べて見ると、計画通りの多角化に見えるかもしれません。しかし実際には、それぞれの事業を始める判断のたびに、迷いや不安がありました。

たとえば、新しい事業を始める前に描いていた需要と、実際にお客様から返ってきた反応にズレが生まれることがあります。当初の計画を、途中で組み直したという経験は一つではありません。狙っていた層とは違うお客様に支持されて、商品やサービスの見せ方を途中から作り直した、という場面もあります。

価格や販売条件でも、似たようなことが起きます。始める時点で見立てていた採算ラインと、実際の市場の相場にズレが生じることがあります。条件を組み立て直した、という経営判断も一度ではありません。「思ったとおりの数字にならない」という現実は、多角化を続けるほど、何度も向き合うことになります。

逆に、体制を整えることを優先しすぎて、着手そのものが遅れたこともあります。一方で、勢いを重視して体制が追いつかないまま走り出し、あとから人と役割の配置を見直した、という経験も珍しくありません。どちらも、正解を先に知っていたわけではなく、走りながら軌道修正してきた結果です。

大切なのは、想定と違う結果になったこと自体ではありません。そこで立ち止まらずに、次の一手を選び直せたかどうかだと私たちは考えています。「常に新しいことへ挑戦し続ける」というクレドは、成功だけを前提にした言葉ではありません。想定外が起きても、そこで終わらないという意思の表明です。

なぜ「想定通りに進まない」ことが起きるのか

中小企業が新しい事業や取り組みに挑むとき、計画通りに進まない場面が生まれるのは特別なことではありません。市場の状況は日々変わります。始める前には見えていなかった課題が、実際に動かして初めて見えてくることもあります。

私たちは6つの事業を並行して運営してきました。その中で実感するのは、事業ごとに前提条件も、顧客も、必要な体制もまったく違うということです。一つの事業でうまくいった判断基準を、そのまま別の事業に当てはめても機能しないことがあります。だからこそ、事業を増やすたびに、私たちは判断の物差しそのものを、その事業に合わせて作り直す必要がありました。

たとえば、一点もののリユース品を扱う判断基準があります。教室運営のように継続的な関係を前提とするKIDSpoでは、これとは違う判断基準が必要です。レンタルスペース事業は、空間という有限の資源をどう埋めるかという発想が必要です。地域のつくり手をつなぐとよなかマルシェには、売上だけでは測れない関係づくりの視点が欠かせません。事業ごとに何を優先すべきかが違います。だからこそ、判断のたびに前提を疑い直す必要があります。

「たまたま売れた」を仕組みに変えるという私たちの考え方は、こうした遠回りの中から生まれています。原因を人のせいにせず、仕組みや判断のプロセス側に理由を探す。この姿勢については、『たまたま売れた』を、なくす。|ラクフルのEC運営を支える再現性の話でも詳しくお伝えしています。

経営判断の精度を上げてきた、私たちなりの向き合い方

想定と違う結果に直面したとき、私たちが大切にしているのは、原因を一人の責任にしないということです。個人の努力不足として片づけてしまうと、同じ判断の誤りは形を変えてまた繰り返されます。

だから私たちは、経営判断が想定通りに機能しなかったとき、何を根拠にその判断をしたのかを振り返るようにしています。どの情報が足りなかったのかも、できる限り言語化します。感覚や勢いだけで進めた判断は、次も同じように不安定になりがちです。根拠と手順を残しておけば、次に似た場面が来たとき、同じ遠回りを避けやすくなります。

振り返りで大切にしているのは、判断の根拠と、実際に起きた結果、そこから得た気づきを、同じ場でセットにして残すことです。特別な様式があるわけではありませんが、誰が読んでも判断の経緯が分かる言葉で書き残すことを心がけています。数字や成果だけを記録すると、次に活きる学びが抜け落ちてしまうからです。

バリューに掲げる「再現性」は、成功だけを再現するための言葉ではありません。判断のパターンを見つけ、次は避けるという意味でも、私たちにとって欠かせない考え方です。越境ECへの挑戦を本格化させようとしている今も、この向き合い方を土台にして進めています。

挑戦を後押しする文化と、判断を振り返る実務

判断を振り返る仕組みがあっても、想定と違う結果を言い出せない空気があれば、その仕組みは機能しません。だから私たちは、挑戦した結果が思うようにいかなくても、それを言葉にできる職場であることを大事にしています。

私たちの職場では、事業ごとの定例の場で、判断の根拠と結果をあわせて振り返ることを習慣にしています。根拠が的中した判断も、外れた判断も、同じ扱いです。誰の責任かを問い詰める場ではなく、次に活かすための共有と位置づけています。振り返りは特定の部署だけでなく、関わった仲間が部署をまたいで顔を合わせる場で行うようにしています。

こうした「言い出しても責められない」職場の状態は、組織行動学で心理的安全性と呼ばれます。挑戦の結果を率直に話せるチームほど、そこから学び、次の判断につなげやすいという指摘があります。子育て世代の働きやすさという切り口での心理的安全性は、『子どものお迎えがあるので』と、堂々と言える会社へ。で詳しくご紹介しています。ここでお話ししているのは、経営判断と挑戦を支える土台としての側面です。

私たちのクレドには「まずは与えることを率先して行う」「One for All, All for One」という言葉があります。これも、根っこは同じところにあります。仲間の誰かが想定と違う結果に直面したとき、責めるのではなく、一緒に次を考える。33名という規模だからこそ、仲間同士のこの距離の近さを大切にできています。

これから私たちが実践していくこと

これまでの遠回りを踏まえて、これから私たちが取り組んでいきたいことを、正直にお伝えします。断定できる実績ではなく、これから積み上げていく挑戦としてご理解ください。

  • 判断の記録化:経営判断の根拠を残す習慣を、事業全体でさらに定着させていきます。
  • 挑戦への向き合い方:越境ECの本格化や自社PBの展開など、答えのない挑戦に取り組みます。その際も、遠回りを前提にした計画づくりを実践していきます。
  • 組織としての心理的安全性:想定と違う結果を率直に共有できる空気を、規模が大きくなっても失わないよう整えていきます。
  • AI・データ活用の深化:判断の根拠をより早く、より正確に振り返れるよう、データやAIの活用も進めていく計画です。

どれも、完成した答えではありません。それでも、想定外を隠さずに向き合う姿勢だけは、これからも変えるつもりはありません。

まとめ:遠回りこそが、経営判断の基準を育てる

2015年の創業から6事業に至る道のりは、成功だけで描かれた一本道ではありませんでした。想定外の連続があったからこそ、私たちは経営判断の基準を少しずつ育ててきました。

失敗を恐れて立ち止まるのではなく、そこから何を学び、次にどう活かすか。その姿勢こそが、私たちの経営判断の土台です。今の私たちがあるのは、成功だけの延長線上ではなく、遠回りを含めた歩みの先にあります。

これから経営判断に迷うあなたにも、お伝えしたいことがあります。想定と違う結果は、経営者としての失格の証ではありません。判断を育てる過程の一部です。遠回りも含めて、私たちはこれからも本気で前へ進みます。わくわくする挑戦を、止めるつもりはありません!私たちの事業や仲間についてもっと知りたい方は、会社について事業紹介もご覧ください。

よくある質問

Q. ラクフルも経営でうまくいかなかった時期があるのですか?

A. はい。2015年の創業から6事業に至るまで、狙い通りに進んだ判断ばかりではありません。需要の見立てがずれて計画を組み直したり、体制づくりの順番を見直したりした場面もあります。本文でお伝えした通り、遠回りを重ねながら経営判断の基準を育ててきました。

Q. 想定と違う結果になった経験を、どうやって次の経営判断に活かしているのですか?

A. 判断の根拠や不足していた情報を振り返り、個人の責任にせず仕組み側の課題として捉え直すことを大切にしています。詳しくは『たまたま売れた』を、なくす。でもご紹介しています。

Q. 挑戦を後押しする社内の文化はありますか?

A. 想定と違う結果を率直に言葉にできる空気を大切にしています。事業ごとの定例で判断を振り返る習慣や、クレド「One for All, All for One」もその土台の一つです。

Q. これからの経営判断でも、想定外は起こり得ますか?

A. はい、起こり得ると考えています。越境ECの本格化など新しい挑戦には、遠回りがつきものです。それでも私たちは立ち止まらず進んでいきます。

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公開: 2026年7月13日 / 最終更新: 2026年7月13日 / 執筆: ラクフル株式会社

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