『たまたま売れた』を、なくす。|ラクフルのEC運営を支える再現性の話

ネットショップの世界には、ふしぎな瞬間があります。ある日とつぜん、ひとつの商品が売れる。うれしい。けれど、次の日にはぴたりと止まる。そして「なぜ売れたのか」を誰も説明できない。——じつは、EC運営でいちばん背すじが寒くなるのは、売れないときではありません。「売れた理由が分からないまま、次へ進んでしまう」ときなのです。

この記事は、EC運営を任せたい取引先やメーカーの方、自社商品をどう届けようか悩んでいる作り手の方、そして「どんな考え方で仕事をする会社なのか」を知りたい採用候補の方へ。大阪・豊中のラクフルが、7つのバリューのひとつに掲げる「再現性」——つまり“たまたま”を“いつも”に変えていく仕組みづくりの話を、きれいごとではなく、現場の等身大でお伝えします。

ラクフルがバリューに「再現性」を掲げる理由

ラクフルには、大切にしている7つのバリューがあります。楽しさ/利潤/最先端/好奇心/再現性/誠実性/持続性。このなかで、いっけん地味に見えるのが「再現性」かもしれません。楽しさやわくわくのほうが、ずっと華やかです。それでも私たちがこの言葉を手ばなさないのは、EC運営という仕事の“いのち”が、まさにここに宿ると信じているからです。

私たちのEC運営は、リユース商材(本・CD・DVD・ゲーム・おもちゃ・家電など)やアパレル商材を、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングといった複数のモールでお届けする仕事です。一日に動く商品の数はとても多く、そのうしろには、目には見えないたくさんの工程が積み重なっています。もし、うまくいったやり方が“その人の勘”のなかだけにあって、言葉にも手順にもなっていなかったら、どうなるでしょう。担当者が一人変わったとたん、品質はガクンと落ちる。お客様にとっては「誰が対応したか」で買い物の体験が変わってしまう。同じお店なのに、当たりはずれがある。——それは、私たちがいちばん避けたいことです。

「たまたま売れた」は、次につながりません。私たちが磨いているのは、誰がやっても同じ品質でお客様に届く、再現性という技術です。

ここで、ひとつ誤解をほどいておきたいことがあります。再現性とは、冷たいマニュアル主義のことではありません。むしろ逆です。うまくいった知恵を、ひとりの手柄で終わらせず、仲間みんなの財産に変えていく。誰かが見つけた「うまくいくコツ」を、その人だけの宝物にしない。それは、私たちのクレド「One for All, All for One」そのものです。ひとりの成功を、全員の“当たり前”に変えていく——その静かな積み重ねが、ラクフルの運営を足もとから支えています。

EC運営を7つの工程に分解してみる

「EC運営って、大変そうですね」と、よく言われます。でも、大変さの正体は、たいてい“ぼんやりと全体をながめている”ことにあります。得体の知れない大きな塊に見えるから、こわい。私たちはまず、運営を工程に分けて、ひとつずつ手のひらに乗るサイズにします。分ければ、こわさは小さくなる。そして、改善できる場所がはっきりと見えてくるからです。

登録・価格・在庫・発送・レビュー・顧客対応・分析

ラクフルが日々まわしているEC運営を、大きく7つの工程に分けてみます。それぞれの工程には、「ここでやっていること」と「つまずいたときに起きること」が、必ず対になって存在します。

# 工程 ここでやっていること つまずくと起きること
1 登録 商品ページ・写真・説明文をつくる 見つけてもらえない/魅力が伝わらない
2 価格 相場を見て適正な価格を決める 高すぎて売れない/安すぎて利潤が残らない
3 在庫 数と状態を正しく管理する 品切れ・二重販売でお客様に迷惑がかかる
4 発送 検品・梱包して安全に届ける 破損・遅延で信頼を失う
5 レビュー 評価を受けとめ、次に活かす 低評価の理由を見のがす
6 顧客対応 問い合わせに誠実にこたえる 一件の不満が、評価全体に響く
7 分析 数字を見て、次の一手を決める 勘だけの運営に逆もどりする

大事なのは、この7つが一本道のゴールではなく、ぐるりとひとつの輪になって循環していることです。

   ①登録 → ②価格 → ③在庫 → ④発送
     ↑                        ↓
   ⑦分析 ← ⑥顧客対応 ← ⑤レビュー
     (分析で得た気づきを、また①登録へ返していく)

分析で見えた気づきを、また登録や価格に返していく。この輪がぐるぐる回るほど、運営はしなやかに磨かれていきます。そして、工程が見えているからこそ、「どこがうまくいったのか」「どこでつまずいたのか」を、あとから言葉にできる。「なんとなく調子が良かった」で終わらせない。再現性の第一歩は、この“分けて、見えるようにする”という、じつに地道な一手から始まります。

外の知見に学ぶ——ムダを減らし、改善を回すという発想

私たちは、自分たちだけの経験にこもりたくありません。世界のすぐれた知恵からも、まっすぐに学びます。そのひとつが、日本のものづくりの現場で磨かれてきた「リーン」や「改善(カイゼン)」という考え方です。

リーン/改善の考え方を、EC運営に噛み砕いて当てはめる

むずかしく聞こえますが、中身はとてもシンプルです。ざっくり言うと、**「ムダをできるだけ減らし、小さな改善を毎日くり返し、現場で気づいた人がその場で直していく」**という発想です。もともとは工場の生産ラインで生まれた考え方ですが、その心は、私たちのEC運営にもおどろくほどぴったり当てはまります。

たとえば、商品ページをつくるたびに、毎回ゼロから写真の撮り方を考えていたら、それは時間のムダです。うまくいった撮り方を手順にしておけば、次の人はそこからスタートできる。そうして空いた時間を、もっと大事な「どうすればお客様にこの商品の良さが伝わるか」という工夫にまわせる。ムダを減らすとは、手を抜くことではありません。大切なことに、時間と心を使うための工夫なのです。

もうひとつの心は、「改善を回すのは、えらい人ではなく、現場の人」という点です。問い合わせに向き合っている仲間、黙々と梱包をしている仲間こそが、いちばん先に「あれ、ここ、なんか変だな」に気づきます。その小さな気づきを、小さく試してみる。良ければ、全員のやり方に変えていく。この「観察→仮説→実行→振り返り」というサイクルこそ、私たちがEC運営で回しつづけたい改善のかたちです。

改善サイクル EC運営での具体例
① 観察する レビューや問い合わせに「同じ不満」がくり返されていないか見る
② 仮説を立てる 「説明文に◯◯を書けば、この誤解は減るのでは?」と考える
③ 実行する いきなり全部ではなく、一部の商品ページで小さく試す
④ 振り返る 問い合わせが減ったか、評価が上がったかを確かめる

大切なのは、この輪を一度きりで終わらせないこと。回せば回すほど、運営は音もなく賢くなっていきます。派手な必殺技はいりません。小さな改善が積もった先に、他社が簡単には真似できない“強さ”が生まれると、私たちは信じています。

ラクフルとしての仮説——属人化を減らし、誰がやっても届く運営へ

ここからは、外の知見を私たちなりに噛みくだいた「仮説」です。まだ完成形ではありません。これから検証し、実践しながら育てていく、途中の考えとして読んでください。

私たちの仮説は、じつにシンプルです。「成果は、才能や偶然ではなく、仕組みと改善の積み重ねで再現できる」。もちろん、一人ひとりのセンスや、その日のひとふんばりは、かけがえのないものです。でも、センスだけに頼りきった運営は、いつか必ず息切れします。子どものお迎えで早く帰る仲間がいても、体調をくずして休む仲間がいても、お客様に届く品質は落ちない——私たちは、そんな運営でありたい。属人化を減らすことは、じつは、仲間が安心して休める会社をつくることと、同じ意味なのです。

女性の多い職場で、子育て世代の仲間とともに働く私たちにとって、「その人がいないと、仕事が回らない」という状態は、ちっともやさしくありません。誰かの経験を、みんなで使える手順と道具に変えていく。それは効率のためだけではなく、まっすぐな仲間への思いやりです。ES(従業員満足)を何よりも大切に考える会社だからこそ、私たちは言いきります。再現性とは、やさしさの技術です。

「属人化された運営」と「再現性のある仕組み化された運営」を、かっこつけずに、正直にならべてみます。

観点 属人化された運営 再現性のある仕組み化された運営
うまくいった理由 その人の感覚のなかにある 手順・記録として共有される
担当が変わったとき 品質が大きく落ちる 同じ品質を引き継げる
休みやすさ 休むと現場が止まる 安心して休める
改善のはやさ 個人の気づきで止まる 全員で積み上がっていく
お客様の体験 担当ごとにバラつく 誰が対応しても、ぶれない

ここで大事なことを、ひとつ。私たちは、すべてを仕組みに置きかえたいわけでは、決してありません。お客様の気持ちに寄りそう温度は、人にしか出せない。むしろ、仕組みで“土台”をしっかり固めるからこそ、人は本当に大切な“心”の部分に集中できる。仕組みと人の温度、その両立こそが、私たちの目指す運営のかたちです。

今後ラクフルが実践していくこと

再現性は、額に飾って終わりの言葉ではありません。日々の現場で、汗をかきながら磨きつづけるものです。私たちがこれから実践していきたいことを、背伸びせず、正直に書きます。

  • 手順の標準化を進める:うまくいった登録・撮影・梱包・顧客対応のやり方を、頭のなかから取り出し、言葉と手順にして、仲間みんなが使える財産にしていきます。
  • データにもとづく改善サイクルを高度化する:勘だけに頼らず、レビューや問い合わせ、数字のなかから「同じ不満」を見つけ出し、観察→仮説→実行→振り返りの輪を回す文化を、もっと深めていきます。
  • AI・自動化を、人の温度と両立させる:くり返しの単純作業はかしこく効率化しつつ、お客様の気持ちに寄りそう最後の判断は、人が守る。その線引きを、机上ではなく実践のなかで見きわめていきます。
  • 複数モールでの展開を深める:楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Qoo10などでの運営を、モールが変わっても同じ品質で再現できるように整えていきます。
  • 越境ECへの対応を広げていく:海外流通に規制のある商品もあるため、対応するモールへの出店を広げ、日本製品への信頼を、アジア市場をはじめ世界へ届けることを目指します。

どれも、一足飛びにできることではありません。小さく試し、振り返り、また試す。この、はたから見れば地味なくり返しこそが、再現性という技術を、たしかに育てていくと信じています。

まとめ:「たまたま」を「いつも」に変えていく

EC運営でいちばんこわいのは、失敗することではありません。「なぜ売れたのか分からない」まま、次へ進んでしまうことです。だから私たちは、運営を工程に分け、うまくいった知恵を手順に変え、現場の気づきで改善を回しつづけます。

成果は、特別な才能や、その日の運まかせで決まるものではない。仕組みと改善の積み重ねで、ちゃんと再現できる。それが、私たちがバリューに「再現性」を掲げる理由です。そしてこの技術は、お客様に安定した品質を届けるためであると同時に、仲間が安心して働き、堂々と休める会社をつくるためのものでもあります。品質へのこだわりと、仲間へのやさしさは、再現性という一本の線で、しっかりつながっているのです。

大阪・豊中から、私たちは「たまたま」を「いつも」へと変えていきます。インターネットの力で、人の生活を少しだけ明るくする。その約束を、偶然ではなく、確かな仕組みで守りつづけるために。

▶ EC運営を任せたい企業様・メーカー様は、事業紹介お問い合わせへ。私たちがどんな仕組みで運営を支えているか、じっくりお話しさせてください。
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