服は、その日の気分をちょっとだけ上げてくれます。そんな一着を、画面の向こうのあなたに届けるのが私たちの仕事です。
でも、ネットで服を買うのは、少しこわい。「サイズが合わなかったら」「色が写真と違ったら」「生地の感触が思っていたのと違ったら」——箱を開けるまで消えない、あのためらいです。よくわかります。試着できない・さわれないという制約は、ネット通販である以上なくなりません。だからこそ私たちは、そのためらいの正体を一つずつ具体的に想像しながら、届く前の”情報”に本気で向き合っています。
この記事では、私たちラクフルのアパレルEC事業の舞台裏を、工程に沿ってひらいていきます。仕入れ・撮影・採寸・ページ制作・梱包という工程の中で、「サイズ」「色」「素材感」という不安にどう先回りしているのか。できるだけ具体的にお伝えします。あわせて、万が一「思っていたのと違った」と感じたときの向き合い方にも触れます。
この記事で分かること
- ネットで服を選ぶときの不安の正体は「サイズ」「色」「素材感」の3つに整理できること
- 実寸情報を手持ちの服と比べて使う、具体的なチェックの仕方
- 色・素材感を画面越しに伝えるために、撮影の現場で意識していること
- 「期待」と「現実」のギャップという視点で、私たちがページ制作をどう設計しているか
- 万が一サイズや色の感じ方が違ったときの、返品・交換への向き合い方
一着が、あなたに届くまで
私たちラクフルが扱うアパレルは、カジュアルからスポーツまで。洋服だけでなく、雑貨やシューズも含めた、暮らしに寄り添う品ぞろえです。その一着が、大阪・豊中の現場からあなたの玄関に届くまで、いくつもの工程を通っています。まずは、その舞台裏を工程ごとにひらいていきます。
仕入れは、トレンドと普遍の両にらみ
すべては、仕入れから始まります。いま流行っているもの(トレンド)だけを追いかけると、季節が変われば在庫の山になります。かといって定番(普遍)ばかりでは、心が動く一着になりにくい。私たちは、この「トレンド」と「普遍」の両にらみで、一点ずつ手に取って選び抜いています。
素材の風合い。縫製のていねいさ。何度洗っても形が保てるか。この価格で、胸を張っておすすめできるか。仕入れのときにくぐらせる問いは、そのまま「お客様が長く着られるか」への問いです。
目利きとは、目の良さではなく、想像力のことだと私たちは思っています。「このお客様なら、どう着るだろう」。その好奇心が、仕入れの精度になっていきます。
撮影・採寸|画面越しでも”ちゃんと伝わる”ために
仕入れた一着は、次に撮影と採寸の工程へ進みます。お客様は実物にさわれません。手ざわりも、光の下での本当の色も、袖を通したときの感覚も、直接は確かめられない。そのハンデを埋めるのが、この工程です。ここで私たちが大切にしていることは、次の章で詳しくお伝えします。
ページ制作の合言葉は、迷わせない・盛らない・正直に
撮影した写真と採寸データを、商品ページへと組み上げていきます。ここでの合言葉は「迷わせない、盛らない、正直に」の3つです。
写真を過度に加工して、実物より良く見せる。都合の悪い情報を、小さく書いて隠す。そうした”盛り”は、一度きりの売上にはなっても、信頼は積み上がりません。それどころか、届いたときの落差がお客様をがっかりさせてしまいます。目先の一回が、次の一回を失わせるのです。
ネット通販で売っているのは、服そのものより先に”情報”です。だから私たちは、盛らずに、ありのままを伝え切ることを目指しています。
短期の売上より、長い信頼を選ぶ。ここは譲れません。同じ姿勢は、姉妹事業の「リユース事業のこだわり」にも通じています。
梱包・配送|箱を開ける瞬間まで、気持ちよく
最後は、梱包と配送です。ここは”作業”に見えて、実はお客様と直接ふれあう最後の接点です。型崩れを防ぎ、雨から守り、開けたときに「ていねいだな」と感じて笑顔になってもらえるように。地味だけれど、この最後のひと手間を大切にしています。
なぜ、ネットで服を買うのはこわいのか
実店舗なら、お客様は服を手に取り、鏡の前で当ててみて、納得してから買えます。けれどアパレル通販では、それができません。判断材料は、私たちが用意した写真と情報だけです。これは、逃げようのない、ネット通販の宿命だと考えています。
経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)によれば、2024年の国内「衣類・服装雑貨等」のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は2兆7,980億円でした。これは「食品、飲料、酒類」「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」などと並ぶ、上位カテゴリーの一つです。この市場規模の大きさから、多くの人が試着できないまま服を選んでいると考えられます。だからこそ、ここに私たちの勝負どころがあります。実物にさわれないぶん、写真と情報で”さわった以上”に伝え切る。この情報の設計こそが、選ばれ続けるお店の実力の一部になります。
私たちの現場の実感として、この不安はおおむね次の3つに分けられます。
- サイズの不安:「Mサイズ」という表記だけでは、ブランドによって大きさがまるで違う。届いてから「思ったよりきつい・ゆるい」と感じることへの不安。
- 色の不安:写真で見た色と、実物の色が違って見えるのではという不安。撮影環境の光と、実際に袖を通す場所の光は、そもそも違います。
- 素材感の不安:さわれないぶん、生地の厚み・伸縮性・光沢感といった手ざわりが、文章だけでは伝わりきらないのではという不安。
この3つの不安に、私たちがどう先回りしているのかを、順番にお伝えします。
サイズ不安に先回りする
「Mサイズ」「Lサイズ」という表記は、あくまでブランドごとの目安にすぎません。同じ「M」でも、ブランドによって着丈が数センチ違うことは珍しくありません。だから私たちは、着丈・身幅・肩幅・袖丈といった実寸を、商品ごとに測って明記しています。数字は、サイズ表記より正直な言葉だと考えているからです。
とはいえ、数字だけを並べても、読み取り方が分からなければ意味がありません。私たちがページで実寸を案内するときに、あわせて意識しているのが「手持ちの服と比べる」という使い方です。なお、着丈は私たちの基準で、襟の付け根(肩の最上部)を基点に統一して測っています。
| 部位 | どこからどこまでの寸法か | 比べるときのポイント |
|---|---|---|
| 着丈 | 襟の付け根(肩の最上部)から裾まで | いま持っている服を平らに置き、同じ位置を測って数センチ単位で見比べる |
| 身幅 | 脇の下から脇の下までの直線距離(×2で胴回りの目安) | ゆったり着たいか、体に沿わせたいかで「ちょうどいい余裕」は変わる |
| 肩幅 | 肩の縫い目から、もう片方の肩の縫い目まで | 肩幅が合っていないと、袖の落ち感や着姿全体の印象に一番影響が出やすい |
| 袖丈 | 肩の縫い目から袖口まで | 七分袖・長袖など表記だけでは分からない、実際の袖の長さの目安になる |
特に見ていただきたいのが着丈と身幅です。写真の印象と実際の着用感のズレが、一番出やすい部分だと感じています。手持ちの服を平らに置き、同じ測り方で当てていただくと、数字が具体的なイメージに変わります。
もちろん、体型や着丈の好みは人それぞれです。実寸の明記は「絶対に合う」保証ではなく、判断材料をできるだけ正確にお渡しするための工夫です。迷ったときは、実寸の数字まで確認していただくことをおすすめします。
色・素材感の不安に先回りする
色再現は、アパレルECのいちばんの正念場だと私たちは考えています。蛍光灯の下と自然光の下では、同じ服がまったく違う色に見えることがあります。撮影用のライトと、お客様が実際に袖を通す部屋の照明も、当然同じではありません。だから私たちは、実物にできるだけ近い色でお届けするために、ライティングを整えてから撮影しています。「思っていた色と違った」——これは、通販でいちばん起きてほしくないことだからです。
ただし、どれだけライティングを整えても、画面の機種や設定によって色の見え方が変わってしまうことは、正直なところ完全にはなくせません。だからこそ私たちは、色を盛って良く見せるのではなく、「光の当たり方で見え方が変わりうる」という注意書きを添えています。
素材感についても同じです。「さらっとした肌ざわり」「厚みがあって秋冬向き」「よく伸びて動きやすい」といった言葉を、できるだけ具体的に添えることを心がけています。生地の厚みや光沢感は、写真だけでは伝わりきらない情報だからこそ、あえて言葉にして先回りする。それが、実物にさわれないというハンデを埋めるための、私たちのやり方です。
この採寸や撮影の工程には、子育てをしながら働く仲間も含め、多様な事情を持つ現場のメンバーの、生活者としての目線が生きています。「自分が買うなら、ここまで知りたい」。その感覚を、そのまま品質基準に落とし込もうとしています。
ラクフルとしての仮説:顧客体験は、届く前から始まっている
ここからは、私たちが検証しながら実践していく「仮説」の話です。デザインの世界には、こんな考え方があります。人がモノやサービスに感じる良し悪しは、使うその瞬間だけで決まるのではない。期待し、出会い、使い、振り返る。その体験の全体で決まる。いわゆる「ユーザー体験(UX。ユーザーエクスペリエンス。商品やサービスを通じて利用者が得る体験全体のこと)」の発想です。要は「買う前から、もう体験は始まっている」ということです。
私たちは、この考え方をアパレルECにあてはめて、こう仮説を立てています。アパレルの顧客体験は、服が届く前——お客様がページを見ている、その瞬間から、もう始まっている。お客様は、商品ページを見た時点で、頭のなかに「届くはずの一着」を思い描きます。これが「期待」です。そして数日後、実際に箱を開ける。これが「現実」です。
期待と現実のギャップを、いかに小さくするか
現実が期待を下回れば、「話が違う」という不満になります。ぴったり重なれば、「思った通り」という安心になります。そして、もし現実が期待を上回ったなら、そこには”うれしい誤算”が生まれ、私たちのファンになってもらえるかもしれません。
| 見るところ | ページで感じたこと(期待) | 届いて感じること(現実) | ギャップを埋めるための、私たちの工夫 |
|---|---|---|---|
| 色 | 写真で見た色 | 実物の色 | ライティングを整えて撮影し、光による見え方の違いも言葉で添える |
| サイズ | サイズ表記のイメージ | 実際に着た感覚 | 実寸を商品ごとに明記し、手持ちの服と比較しやすい形で案内する |
| 素材感 | 写真から受けるなんとなくの印象 | 手に取ったときの厚み・伸縮性 | 「さらっと」「厚手」など、手ざわりを言葉でできるだけ具体的に表現する |
| 状態 | ページの説明 | 手に取った状態 | 良い点も気になる点も、ありのままに表記する |
| 開封 | なんとなくの想像 | 箱を開けた瞬間 | 型崩れさせない、ていねいな梱包を心がける |
期待を無理に高く盛れば、現実とのギャップが開き、がっかりが生まれます。だから私たちは、期待を”高くする”のではなく、”正しくつくる”ことに集中しています。盛るのではなく、合わせる。それが「届いたら思った通り」への道につながると、私たちは信じています。
「思った通り」は、UXの言葉でいう”期待の設計”
「思った通りだった」。この何気ない一言こそ、私たちがいちばん聞きたい言葉です。
UXの言葉で言い換えれば、これは”期待の設計”がうまくいった状態です。お客様が抱いた期待と、届いた現実が、きれいに重なる。派手な感動の言葉ではないかもしれません。けれど、この「思った通り」の静かな積み重ねこそが、「この店なら失敗しなさそう」という信頼になり、次の一着を選んでもらう理由になっていく。そう仮説を立てて、日々の運営に反映させようとしています。
それでも「違った」と感じたときの、返品・交換への向き合い方
ここまで先回りしても、実際に袖を通してみないと分からない感覚は、どうしても残ります。サイズがぴったりでも着心地の好みが合わない。色は間違っていなくても、部屋の照明だと印象が違って見える。そうしたことは起こり得ます。だからこそ、届いたあとに「思っていたのと違った」と感じたお客様に、どう向き合うかも大切な設計の一部だと考えています。
私たちの現場の実感でも、サイズ違いや色・素材感の印象の違いは、返品・交換のきっかけになりやすいと感じています。試着できない通販の構造上、避けきれない部分はあります。それでも、購入前に正確な情報を渡しておくことが、”思っていたのと違った”を減らす最善の手立てです。
個別の返品条件や交換の流れは、商品ページやお問い合わせ窓口でご案内しています。届いたあとにどんな姿勢でやり取りするかは、私たちの顧客対応の考え方そのものに関わってきます。その考え方は、別記事「いい会社は、いい顧客対応から」で詳しくお伝えしています。
今後ラクフルが実践していくこと
「届いたら思った通り」の精度を、私たちはまだまだ上げていけると考えています。これからも検証を重ねながら、こんなことに取り組んでいきます。
- 採寸・状態表記のさらなる標準化:誰が測っても同じように伝わる基準へ、ばらつきを減らしていきます。
- 色再現の精度向上:撮影環境を整え続け、「写真と違う」をもっと減らしていきます。
- サイズ・素材感の不安をやわらげる情報の充実:着用イメージや比較のヒントを、一つずつ言葉にしていきます。
- 複数のモールでの伝わり方の最適化:私たちは複数の事業・モールで販売しています。お客様が出会う場所ごとに、届く見せ方をこれから磨いていきます。
- 越境ECを見すえた情報設計:豊中から、世界のお客様へ。言葉や文化が違っても「思った通り」が届く伝え方を、これから育てていきます。
いずれも、まだ道半ばの挑戦です。だからこそ、正直に「これから実践していく」と書きます。いま約束できるのは、この方向へ一緒に本気で進み続けることです。
まとめ:服を売るんじゃない。毎日の”わくわく”を届けている
アパレルECの成否は、届く前の”情報の設計”でほぼ決まる。私たちは、そう考えています。サイズ・色・素材感という3つの不安に先回りし、隠さずありのままに伝え切ること。それが「届いたら思った通り」という体験になり、信頼になり、次の一着を選んでもらう理由になっていきます。
私たちが売っているのは、服そのものである以上に、その服が連れてくる毎日の”わくわく”です。届いた箱を開けるあの瞬間の、小さな高鳴り。「この店なら、失敗しなさそう」という安心。そこに、一着ずつ、本気で向き合う。地味な工程の一つひとつに、その本気は宿ります。
「楽しいことがいっぱい=ラクフル」。この社名に込めた言葉と、「インターネットを通じて、人々の生活に彩りと艶と輝きをもたらす」というミッション。どちらも、一着の服を届ける仕事の中に息づいています。大阪・豊中の現場から、私たちはこれからも、その一着を心をこめて届けていきます。あなたが箱を開けて、思わず「思った通り」とつぶやく、その瞬間のために。
よくある質問
Q. サイズ表記と実寸、どちらを信じればいいですか。
A. サイズ表記(S・M・Lなど)はブランドごとの目安であり、同じ「M」でもブランドによって数センチ違うことがあります。私たちは実寸(着丈・身幅・肩幅・袖丈など)を商品ごとに明記しています。迷ったときは、手持ちの服と同じ測り方で比べていただくことをおすすめします。
Q. 写真の色と実物の色は、本当に一致しますか。
A. 実物にできるだけ近い色でお届けするために、ライティングを整えて撮影しています。ただ、画面の機種や設定、ご覧になる場所の照明によって、見え方が変わることは避けられません。気になる場合は、色の見え方に関する注記もあわせてご確認ください。
Q. 生地の厚みや伸縮性は、どうすれば分かりますか。
A. 写真だけでは伝わりにくいからこそ、手ざわりを具体的な言葉で添えることを心がけています。「さらっとした肌ざわり」「厚手で秋冬向き」などです。表記が見当たらない場合は、お問い合わせください。
Q. 届いた商品が思っていたのと違ったら、返品や交換はできますか。
A. 個別の返品・交換の条件は商品ページやお問い合わせ窓口でご案内しています。購入前に正確な情報をお渡しし、「思っていたのと違った」を減らすことを最優先にしています。そのうえで、実際のお困りごとには一つずつ向き合います。
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参考情報・出典
- 経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」公表資料(2025年8月公表)
公開: 2026年6月24日 / 最終更新: 2026年7月13日 / 執筆: ラクフル株式会社(アパレルEC事業の現場より)
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