配送は、最後の接客。|荷物が届く瞬間まで責任を持つということ

ページを丁寧に作り、梱包にこだわり、問い合わせにも誠実に応える。それでも、玄関先で荷物を受け取った瞬間の印象がすべてを塗り替えてしまう。ネット通販を営んでいると、この重みを何度も実感します。

「配送」という言葉は、どうしても物流の最終工程、実務上の一項目として扱われがちです。けれど私たちは、そこにあえて逆らいたいと思っています。配送とは、お客様と物理的に接する唯一の場面であり、いわば「最後の接客」だと考えているからです。

今日はその持論を、EC事業者にとっての配送品質を考えたい方にお話しさせてください。私たちの仕事観に関心を持ってくださった方にも、正直にお伝えできればと思います。

この記事で分かること

  • 「配送は最後の接客である」という、私たちの持論の背景
  • ラストワンマイルとは何か、なぜそこが物流の要になるのか
  • 再配達という課題が、業界全体にとってどれほど大きいのか
  • 配送品質でつまずくと、何を失うのか
  • 私たちが配送で大切にしていること、これから取り組んでいくこと

結論:配送は、物流部門の指標ではなく会社の姿勢そのものです

結論から書きます。EC事業において、お客様が会社と物理的に接する場面は、配送以外にありません。ページを見るのも、レビューを書くのも、画面越しの体験です。しかし荷物を受け取るときだけは違います。現実の重さや箱の質感、そして待った時間の感覚として、お客様に直接伝わるからです。

だからこそ私たちは、配送品質を「物流部門が管理する数字」ではなく、「会社の姿勢がそのまま表れる場面」として位置づけています。遅れたときにどう詫びるか、荷物がどんな状態で届くか。そこに、その会社の本気度が透けて見えるからです。

なぜ今、配送品質が見直されているのか

この考え方は、私たちだけの特殊な思想ではありません。EC市場の拡大とともに、配送という工程そのものが、業界全体で見直されています。

背景にあるのが、宅配便の取扱個数の増加と、それを支える物流現場の負担です。国土交通省の調査によれば、宅配便の再配達率は令和8年(2026年)4月の調査で約7.6%でした。前回の令和7年10月調査の約8.3%からは改善しています。それでも、荷物のおよそ13個に1個は、依然として一度で届いていない計算です。

政府も対策に動いています。2023年10月、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」が「物流革新緊急パッケージ」をまとめました。この中で、当時12%程度だった再配達率を6%へ半減させる目標が掲げられています。直近の調査でもこの水準には届いていません。置き配や宅配ボックスといった多様な受け取り方法の普及が、業界を挙げての課題になっています。

再配達が増えれば、ドライバーの負担が増し、配送網全体が疲弊します。EC事業者にとっても他人事ではありません。私たちが毎日出荷している荷物も、この配送網の上を運ばれているからです。

ラストワンマイルとは何か

物流の世界では、拠点から届け先までの最終区間を「ラストワンマイル」と呼びます。工場から倉庫、倉庫から配送拠点までは、大型車両でまとめて効率よく運べます。しかし拠点から一軒一軒の玄関先までは、まとめて運ぶことができません。1件ずつ、個別に届ける必要があります。

このラストワンマイルこそ、物流の中で最もコストと手間がかかり、同時にお客様との唯一の接点になる区間です。効率化が最も難しい場所に、体験としては最も重要な場面がある。この矛盾こそが、配送という工程の面白さであり、難しさだと私たちは感じています。

配送でつまずくと、何を失うのか

配送品質は、単に「届けば良い」という話では終わりません。お客様の視点で考えると、失うものは想像以上に大きくなります。

一つ目に失うのは、リピートの機会です。商品ページで期待を高め、丁寧な説明で信頼を積み上げても、それだけでは足りません。届いた箱が潰れていたり、連絡なく到着が大幅に遅れたりすれば、その積み上げは一瞬で崩れます。次に買っていただけるかどうかは、届いたときの印象に大きく左右されるのです。あわせて、レビューへの影響も見逃せません。商品そのものへの不満ではなく、配送への不満が低評価として書き込まれることは珍しくないからです。お客様からすれば、商品と配送を切り分けて評価する理由はありません。

事業者側の視点に立てば、配送遅延やトラブルへのお詫び対応も、日々の業務の中で軽くない負荷になります。ここを「仕方のないコストだ」と諦めるか、「接客の一部」として設計するか。この違いで、現場の姿勢は大きく変わってくると考えています。顧客満足を配送という接点まで含めて設計できるかどうかは、事業の伸びしろそのものです。

業界全体を見れば、この課題はさらに構造的です。ドライバーの時間外労働に上限が設けられた、いわゆる「物流の2024年問題」によって、輸送能力そのものに制約がかかっています。荷物の量は増え続ける一方で、運ぶ人手は限られています。この状況で配送品質を保つには、発送する事業者側にも工夫の余地があると私たちは考えています。

接点 お客様が体験すること 私たちが大切にしていること
商品ページ 期待を膨らませる情報 正直な状態表示、迷わない説明
配送中 待つ時間の不安 追跡番号の案内、遅延時の早めの連絡
受け取り 箱を開けるときの印象 破損なく、気持ちよく開けられる梱包

私たちが配送で大切にしていること

私たちは国内ECでリユース品・アパレル品を中心に、日々自社で出荷作業を行っています。パート・アルバイトを含む33名の仲間が、この出荷の現場を日々支えています。その中で大切にしているのは、特別な仕組みではなく、地味であっても崩さない基本です。

追跡番号は、できる限りご案内するよう心がけています。荷物がどこにあるか分かるだけで、待つ時間の不安は大きく減るからです。配送に遅れが見込まれる場合には、できるだけ早い段階でお伝えすることも大切にしています。遅延そのものより、「何も知らされない」ことの方が、お客様の不信感につながると私たちは考えているからです。

そして、箱を開けるときの印象です。一点もののリユース品は、状態を正直に、わかりやすく伝えることを何より大切にしています。それは、届いた箱を開けるところまで含めた約束です。この梱包へのこだわりについては、別記事で詳しくご紹介する予定です。

梱包や案内の工夫だけでなく、荷物を最後まで運んでくださる配送会社の方々への感謝も、忘れないようにしたいと考えています。玄関先まで届けてくださるのは、私たちではなく現場のドライバーの方々だからです。

私たちが売っているのは、商品そのものだけではなく、お客様の生活へ差し込む「少し明るい明日」だと考えています。その思想については、私たちが売っているのは、商品ではなく『少し明るい明日』ですという記事でも詳しくお話ししています。配送はまさに、その約束が現実になる場面です。

ラクフルとしての仮説:接客は、画面の外にも続いている

お客様対応(カスタマーサポート)については、私たちは以前いい会社は、いい顧客対応から生まれるという記事でお話ししました。対応の一つひとつがブランド資産になるという考え方です。配送は、その延長線上にあります。

問い合わせへの返信も、荷物の受け取りも、お客様から見れば同じ「この会社とのやり取り」の一部です。画面の中の接客と、画面の外で起きる配送という体験を、切り分けて考える理由はありません。私たちの仮説はこうです。配送品質への投資は、物流コストの一項目ではなく、顧客対応への投資と同じ性質を持つ、というものです。

だからこそ配送は、担当部署だけの仕事にしたくありません。商品を選ぶ人、説明文を書く人、梱包する人、そして届ける配送会社まで、同じ約束を共有できているか。そこまで含めて、私たちは「接客」だと捉えています。

今後ラクフルが実践していくこと

この持論を、これから具体的な取り組みに落としていきます。断定できる実績ではなく、これから積み上げていく挑戦として、正直に書きます。

  • 複数モール・複数事業をまたいでも、追跡案内や遅延時の連絡といった配送品質の基準を揃えていきます。
  • リユース品・アパレル品それぞれの特性に合わせた梱包の基準づくりを、引き続き磨いていきます。
  • 越境ECの本格化に向けて、国内で培った配送品質への姿勢を、海外への発送でも同じように大切にしていくことを目指します。
  • EC物流の各工程(受注・梱包・出荷・返品)については、今後の記事でさらに詳しく解説していく予定です。

どれも、これからの挑戦です。すでに完成した仕組みとして誇るのではなく、日々の出荷の中で問い直し続けたいと思っています。

まとめ:荷物が届くときまで、私たちの仕事です

配送は、物流の最後の工程ではありません。お客様にとっては、会社と直接つながる唯一の場面です。だから私たちは、荷物が届くときまで、自分たちの仕事だと考えています。

再配達という業界全体の課題も、ラストワンマイルという難しさも、すぐに解決できるものではありません。それでも、届け方への姿勢まで手を抜かない。そこに、会社としての本気度が表れると信じています。

この考え方に共感してくださる方がいれば、それは私たちにとって嬉しいことです。荷物が届く瞬間まで、私たちは責任を持ち続けます。EC事業者にとっての配送品質を、これからも共に考えていけたら幸いです。

よくある質問

Q. 「配送は最後の接客」とは、具体的にどういう意味ですか?

A. お客様が会社と物理的に接する唯一の場面が配送です。届く時間・荷物の状態・遅延時の対応まで含めて、会社の姿勢が表れる場面だという考え方です。

Q. ラストワンマイルとは何ですか?

A. 物流拠点からお客様の玄関先までの最終区間を指す言葉です。まとめて運べないため最もコストがかかり、同時にお客様との唯一の接点になる区間でもあります。

Q. 再配達はどのくらい発生しているのですか?

A. 国土交通省の調査によれば、宅配便の再配達率は令和8年(2026年)4月時点で約7.6%です。政府は「物流革新緊急パッケージ」の中で6%への半減を目標に掲げていますが、達成には至っていません。

Q. 配送品質を上げるために、まず何から取り組めばよいですか?

A. 特別な仕組みより先に、追跡番号の案内や遅延時の早めの連絡といった、基本を崩さないことが土台になると私たちは考えています。

あわせて読みたい

公開: 2026年7月13日 / 最終更新: 2026年7月13日 / 執筆: ラクフル株式会社(EC物流の現場より)

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP
TOP